4年ぶりにロンドン。

2008年1月24日(木)ロンドン上陸7周年記念 ~その6

楽しく希望に満ちた生活が2ヶ月くらいたったある晩のことだった。

夜11時過ぎにドアベルが鳴り響く。

「ジョン(仮名)いるか!」とドアをたたく。

覗き窓から外の人物を確かめた。

そこには落ち着きのない大柄で白髪の老人男性が立っていた。

恐る恐るチェーンをかけたままドアを開けた。

「ジョンは居るか」

居るわけがない。大家だからここには住んでいませんと答えると

突然IDを出して

「私は区から派遣された住居調査をしているマイク(仮名)という者です。少しお話を聞かせていただきたいので上がっても良いですか」

とぶっきらぼうに言い放った。

そんなの怪しい。怪しすぎる。家入る?!アポ無しだし、今何時よ!一体!

とりあえず疑うだけ疑ったけど、IDを信じマイクを広いリビングへ通し話を聞くことにした。

その大柄のマイクは正座をし床に座った。ソファーがあるにもかかわらず。

こちらがアジア人だからと気を使った行動なのだろうか。

マイクはたくさんの資料と共に本来の目的を話し聞き始めた。

この家の主のことや契約した日、家賃金額、支払い方法、大家つまりジョンの背格好等を事細かに聞いてきた。

こちらも必死で受け答え、以前通っていた英会話学校よりもハードな時間が流れていった。

しかし怪しい。なんでこんな質問するのだろう。頭の中はハテナだらけ。

やっぱり怪しいやつだったのか。なんか騙そうとしているな。私の目は疑いの眼差しへと変わり、家に入れたことを後悔していた。

それでもマイクは話し続ける。

ある程度話終わったところで、マイクは自分の正体を明かした。

実はここの来た目的は私たちと世間話をしに来た訳でもなく、住居調査をしに来た訳でもなかったのだ。